
「持ち家は経済的に得」「資産になるから早く買った方がいい」
こんな話を、誰しも一度は聞いたことがあると思います。
実際、持ち家派のアンケートを見ると、
メリットの上位には「経済的に有利」「資産になる」が並びます。
一方で、「不安に思っていること」の上位はというと、
- ローン返済ができるか不安
- 維持費がかかるのが心配
……正直、ちょっと笑ってしまいました。
それって、経済的に得だと確信していたら普通は出てこない不安では?と思ってしまうのです。
多くの人が家を買うときの思考プロセス
多くの場合、家を買う理由はこんな感じです。
- 周りがみんな持ち家だから
- いずれ自分のものになるから
- 家賃を払い続けるのはもったいないから
- 早く買った方がお得だと言われたから
これ、冷静に見ると、ほぼセールストークと同調圧力の合成です。
「将来は家賃を払わなくてよくなる」「ローンは資産に変わるお金」
たしかに一見もっともらしいですが、
ローン金利・固定資産税・修繕費・保険料など、
現実には毎年確実に出ていくお金が山ほどあります。
将来売れるかどうかも分からない「不確定な資産」と、
今すぐ出ていく「確定支出」を天秤にかけている時点で、
経済的に得かどうかはかなり怪しいです。
日本で持ち家の「経済的メリット」はほぼない
かなりはっきり言います。
日本で持ち家が自動的に経済的メリットになるケースは、ほぼありません。
理由は単純で、
- 人口は減り続けている
- 建物価値は基本的に下がる
- 流動性が低く、すぐ現金化できない
- 住み替えの自由度が極端に下がる
それでも家を買う人がいるのは、
- 間取りや内装にこだわりたい
- 子どもに安定した環境を与えたい
- 「ここに住み続ける」と腹をくくった
こうした感情的・生活的な満足があるからです。
つまり、持ち家は経済的メリットがある‘‘投資’’ではなく、
趣味やライフスタイルの選択に近いと言えます。
ローンという「体のいい借金」について
持ち家が「趣味に近い選択」だと考えると、次に見えてくるのが、住宅ローンの正体です。
家を買った、という言い方はよく聞きますが、正確に言えば
ローンを完済するまでは、本当の意味では自分のものではありません。
住宅ローンが残っている間、家は「所有しているように見える借金の担保」です。
金利が低いせいで感覚が麻痺しがちですが、やっていることは数千万円単位の借金です。
借金であること自体は悪ではありませんが、
それを「買った」「資産を持った」と言い切ってしまうのは、少し違和感があります。
正直なところ、ローンを組んで家を買ったことを自慢げに語られても、
「それ、借金の話ですよね?」と思ってしまうこともあります。
「住宅ローンは死んだら払わなくていいから安心」という意見もありますが、
これは冷静に言えば、ローン契約とセットで“完済用の生命保険に加入させられている”だけです。
借金が帳消しになる魔法ではなく、保険で清算しているだけ、というのが実態です。
しかもその保険料は、金利に上乗せされる形で実質的に負担しています。
本当に余裕がある人の家の買い方
もちろん、例外はあります。
- 一括で買えるだけの資産がある
- それでもあえて、資金効率を考えてローンを使っている
- 返済期間を短く設定し、定年までに完済できる
こうしたケースなら、ローンは戦略的な道具として成立しています。
この場合は「家を買った」と言っても違和感はありませんし、
むしろ合理的な判断だと思います。
健全とは言いにくいローンの組み方
一方で、最近よく見かけるのが、
- 35年ローン
- 50年ローン
- 定年後も返済が続く前提の計画
こうしたローンの組み方です。
これはもはや、「家を買った」のではなく、
人生の自由度を長期間担保に入れている状態に近いです。
収入が減る可能性、病気や働き方の変化、子どもの教育費などを考えると、
定年後まで借金を引きずる設計は、健全とは言いにくいと思います。
ローンは「当たり前」ではない
住宅ローンは、
「みんなが組んでいるから当たり前」
「家を買うならローンが普通」
という空気で語られがちです。
ですが実態は、金利が低いだけの巨大な借金です。
ローンを組むこと自体が悪いのではありません。
問題なのは、
- 借金であるという自覚が薄いまま
- 将来の可動域を削る設計になっている
この状態で「経済的に得だから」と思い込んでしまうことです。
じゃあ、いつなら買っていいのか?
それでも「絶対に買うな」という話ではありません。
買ってもいいタイミングは、はっきりしています。
- 今後の居住地がほぼ確定している
- 転勤・異動・引っ越しの可能性が低い
- 子どもの人数や教育方針が固まっている
- 住宅ローンを払っても家計に余裕がある
- 売却できなくても住み続けられる覚悟がある
この条件が揃って初めて、「買っても致命傷にならない」状態になります。
例外的に「アリ」なケース
持ち家が合理的になる例外もあります。
- 都心や駅近など、流動性が極めて高い立地
- 将来的に賃貸に回せる物件
- 住宅費が家計のごく一部で済む高資産層
- 親から土地を相続できるケース
要するに、「動けなくなるリスク」を吸収できる人です。
若い・子育て期・異動ありの人は、基本NG
逆に、以下に当てはまるなら要注意です。
- まだ若い
- 子育て真っ最中
- 仕事の異動や転職の可能性がある
- 収入のピークが見えていない
人生の可変性が一番高い時期に、一番身動きが取れなくなる買い物をする。
これは戦略的にはかなり悪手です。
持ち家派と揉めないために
持ち家派の人とこれまで述べたような話をすると、下手したら喧嘩になります。
なので、こう言うのがおすすめです。
「持ち家が悪いとは思ってないんですけど、自分はまだ動ける余地を残しておきたいだけなんです」
あるいは、
「家は資産というより、生活を豊かにするための趣味に近いと思っていて」
こう言えば、相手の価値観を否定せずに済みます。
まとめ
- 持ち家は自動的に経済的メリットが出るものではない
- 多くの人が「得なはず」と思い込みで買っている
- 日本では持ち家は趣味・ライフスタイルの選択に近い
- 可動域を残したい時期に買うのはリスクが高い
持ち家は「得だから買うもの」ではありません。
「それでも欲しい」と思える人が買うものです。
お金の選択で大事なのは、
得か損かよりも「致命傷を避けること」。
この視点を忘れずに、住まいの選択も考えていきたいですね。
Wrote this article この記事を書いた人
エフ 男性
3歳の息子と1歳の娘を育てる2児の父。 2人目の誕生をきっかけに1年間の育休を取得し、家事・育児に全力で向き合う。 10年以上にわたり投資を続け、元本を倍以上に育ててきた。 「堅実な投資」と「合理的な節約」がモットー。 FP(ファイナンシャルプランナー)資格保有。妻は専業主婦。 家族との時間と、お金のゆとりの両立を目指している。