
会社員であれば、毎年会社の健康診断を受ける機会があります。
一方で、専業主婦(主夫)や自営業になると、自分で健康診断を申し込まない限り、何年も受けないという人も珍しくありません。
私の家庭でもそうですが、「健康診断より歯科検診の方を優先している」という人も多いのではないでしょうか。
とはいえ、人間ドックを調べてみると数万円かかることも多く、さらにオプション検査がずらり。
「結局どれを受ければいいの?」
「全部受けた方がいいの?」
と迷ってしまいます。
そこで今回は、医学的なエビデンスをもとに、「費用対効果が高く、優先して受ける価値がある検査」について調べてみました。
※本記事は一般的な医学的エビデンスを紹介するものであり、診断や治療を目的としたものではありません。症状がある場合や家族歴などのリスクがある場合は、医師に相談してください。
健康診断を受けても死亡率は変わらない?
少し意外かもしれませんが、「一般的な健康診断を受けても死亡率は変わらなかった」という研究があります。
これは1つの研究ではなく、複数のランダム化比較試験(RCT)をまとめたシステマティックレビュー(Cochrane Review)などで示されています。
もちろん、「だから健康診断は意味がない」という話ではありません。
健康診断によって、
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 肝機能異常
などが早く見つかるメリットはあります。
ただ、「健康診断を受けた人の方が長生きした」とまでは証明されなかった、ということです。
理由としては、
- 体調が悪くなれば病院を受診する人が多い
- 健康診断だけでは生活習慣は変わらない
- 過剰診断や不要な検査が増えることもある
などが考えられています。
つまり、「何でも検査すればいい」というわけではなく、本当に効果が期待できる検査を選ぶことが大切なのです。
健康診断も「コスパ」で考えてみる
私は投資が好きなので、健康診断も少し投資に似ていると感じています。
限られたお金と時間の中で、
「どこに投資すると一番リターンが大きいのか」
を考えるイメージです。
何万円もかけてオプション検査を追加するより、比較的安価で効果が期待できる検査を優先する方が、費用対効果は高いかもしれません。
そこで、私が調べた中で優先度が高いと感じた検査を紹介します。
優先して受けたい検査
① 血圧測定(★★★★★)
最も費用対効果が高い検査の一つです。
高血圧は自覚症状がほとんどありませんが、
- 脳卒中
- 心筋梗塞
- 腎臓病
などの大きな原因になります。
測るだけなら数分で終わりますし、治療による予防効果も十分に証明されています。
② 血液検査(★★★★★)
血液検査では、
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 肝機能
- 腎機能
などを調べることができます。
糖尿病を早く見つけられれば、
- 透析
- 失明
- 足の切断
などの重い合併症を防げる可能性があります。
③ 便潜血検査(★★★★★)
便潜血検査は、大腸がん検診として非常にエビデンスが強い検査です。
便に混ざった目では見えないほど少量の血液を調べることで、
- 大腸がん
- 大きなポリープ
などを見つけるきっかけになります。
陽性だからといって必ずがんというわけではありませんが、大腸内視鏡検査につなげることで、がんになる前のポリープを切除できることもあります。
つまり、「早く見つける」だけでなく、「将来のがんを予防する」ことにもつながる可能性があります。
一度受けておくと安心な検査
ピロリ菌検査(★★★★☆)
ピロリ菌は、
- 胃がん
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
の大きなリスク因子です。
感染している場合でも症状がないことは珍しくありません。
除菌治療によって胃がんのリスクを下げられることが分かっているため、一度も調べたことがない人は検討する価値があります。
B型・C型肝炎ウイルス検査(★★★★☆)
こちらも感染していても無症状のことが多い病気です。
何十年もかけて肝臓が傷み、
- 肝硬変
- 肝臓がん
につながることがあります。
一度陰性を確認できれば、その後も特別な感染機会がない限り繰り返し受ける必要はあまりありません。
女性は受けておきたい検査
女性の場合は、
- 子宮頸がん検診
- 乳がん検診(対象年齢)
も優先度が高い検査です。
特に子宮頸がん検診は、がんになる前の段階で異常が見つかることもあり、早期に治療できる可能性があります。
オプション検査は本当に必要?
人間ドックには、
- PET検査
- 腫瘍マーカー
- 全身MRI
- 全身CT
など魅力的に見える検査もあります。
もちろん、リスクが高い人や医師から勧められた人には必要な場合があります。
しかし、症状のない一般の人が毎年受けることについては、利益がはっきり証明されていないものも少なくありません。
例えば膵臓がんは「沈黙の臓器」と言われますが、一般の健康診断や腹部エコーでは見つけにくく、現在も無症状の人全員に有効なスクリーニング方法は確立されていません。
そのため、家族歴や慢性膵炎などリスクが高い人に対して、MRIや超音波内視鏡などの精密検査が検討されます。
「全部受ければ安心」というよりも、自分のリスクに応じて検査を選ぶことが大切です。
ケース別プラン
ケース① 40代会社員(会社の健康診断あり)
会社の健康診断を基本に、足りない検査だけ追加。
ケース② 専業主婦・自営業
自治体健診+便潜血+必要に応じてピロリ菌。
ケース③ 喫煙歴が長い人
肺がん検診も医師と相談。
ケース④ 家族に胃がん・大腸がんが多い人
家族歴がある場合は一般的な推奨より積極的な検査を検討。
予算別プラン
0~3,000円
自治体健診だけでも十分価値あり。
5,000円前後
+便潜血
+ピロリ菌(未検査なら)
1万円~
女性なら乳がん・子宮頸がん。
リスクがある人は追加検査。
まとめ
健康診断は「全部受ければ安心」というものではありません。
研究では、一般的な健康診断が死亡率を改善したとは言えない一方で、便潜血検査や子宮頸がん検診など、効果が比較的はっきりしている検査もあります。
だからこそ大切なのは、
「何を受けるか」を選ぶこと。
これは資産運用にも少し似ています。
限られた予算の中で、期待できる効果が高いものに優先してお金を使う。
健康診断も同じように、エビデンスを参考にしながら、自分に合った検査を選ぶことが大切なのではないでしょうか。
参考文献
- Cochrane Review:General health checks for reducing illness and mortality (2019)
一般健康診断が死亡率や心血管疾患・がん死亡率に与える影響をまとめたシステマティックレビュー。 - PubMed:General health checks in adults for reducing morbidity and mortality from disease(Cochrane Database Syst Rev. 2019)
上記レビューのPubMed掲載論文。 - 厚生労働省「がん検診」
国が推奨するがん検診の対象年齢・受診間隔・利益と不利益について。 - 国立がん研究センター「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン 2024年度版」
便潜血検査の有効性や推奨内容についてまとめたガイドライン。 - 国立がん研究センター「がん検診ガイドライン」
胃がん・肺がん・大腸がん・子宮頸がんなどの有効性評価に基づくガイドライン。 - 日本ヘリコバクター学会(ピロリ菌診療ガイドライン)
- 厚生労働省「肝炎総合対策」(B型・C型肝炎に関する公的情報)
Wrote this article この記事を書いた人
エフ 男性
4歳の息子と2歳の娘を育てる2児の父。 2人目の誕生をきっかけに1年間の育休を取得し、家事・育児に全力で向き合う。 10年以上にわたり投資を続け、元本を倍以上に育ててきた。 「堅実な投資」と「合理的な節約」がモットー。 FP(ファイナンシャルプランナー)資格保有。妻は専業主婦。 家族との時間と、お金のゆとりの両立を目指している。